大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和25(れ)1979 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人鈴木由治の上告趣意について。

原判決事実摘示第一において「同日午後十一時頃」と判示していることは所論指

摘のとおりであるが、原判決の右事実摘示とこれが証拠説明(即ち右第一事実に対

する判示一二三の証拠説明)とを彼此対照すれば、右は「同日午前十一時頃」の誤

記であることは極めて明瞭である。従つて原判決には所論の違法はないから、論旨

は理由がない。

弁護人池田純亮の上告趣意について。

所論前段は、原判決挙示の証拠によつては、被告人等が被害者Aに対し傷害を与

えた事実、殊に如何なる箇所に如何なる傷害を与えたか全然判明しないと主張する

のである。しかし、原判決は判示のような各人による各種の暴行を加えよつて外傷

性シヨツクによつて死亡するに至らしめたものであると認定判示しているのであつ

て、特定の箇所に特定の傷害を与えた事実を認定判示してはいないのである。そし

て右原判決認定の事実はその挙示証拠によつて明認できるのであるから、原判決に

所論のような違法はない。次に所論後段は原判決が死因の点の証拠として挙示する

二つの鑑定書(昭和二二年五月三一日附と昭和二五年七月二〇日附のもの)中の前

の鑑定書の死因に関する記載は鑑定人の想像であつて断定ではないから、右鑑定書

は証拠とならないものであるのに、原審はこれを証拠に採つた違法があると主張す

るのである。しかし、原判決が死因の点の証拠として挙示しているものは右両鑑定

書の外更に五つの証拠を挙示し、以上を綜合して判示死因を認定しているのであり、

殊に所論指摘の鑑定書の記載は単なる空な想像を記載したものではなく、学識経験

者がそれにより実験した事実に基ずき推測した事項を記載したもの(旧刑訴二一九

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条、二二八条、二〇六条参照)であることは右後の鑑定書の記載に照し極めて明瞭

であるから、これを証拠に供した原判決には何等所論のような違法はないのである。

以上のとおりであるから、論旨は何れも理由がない。

よつて、刑訴施行法二条旧刑訴四四六条に従い、裁判官全員一致の意見によつて、

主文のとおり判決する。

検察官 松本武裕関与

昭和二六年五月四日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

裁判官小谷勝重は出張中につき署名押印することができない。

裁判長裁判官 霜 山 精 一

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